出光美術館は、出光興産の創業者であり美術館創設者の出光佐三氏(1885−1981)がその生涯をかけて蒐集した美術品を展示・公開しており、そのコレクションは日本で屈指の質と量を誇っています。本展覧会では出光美術館のコレクションから厳選された名品を一堂に展示しご紹介いたします。
このたび特別出品となるのが、鎌倉時代に描かれた貴重な絵巻である、重要文化財『佐竹本三十六歌仙絵 柿本人麿』(前期展示)と重要文化財『佐竹本三十六歌仙絵 遍照』(後期展示)。大正時代に上下二巻の絵巻から断巻されたのち、名だたる実業家や茶人に受け継がれてきた絵巻です。今回は当館所蔵の重要文化財『佐竹本三十六歌仙絵 源重之』(公開期間9/26~11/3)と併せて展示いたします。
また、佐竹本が茶席における掛物としても格式高いものとして扱われたことにちなみ、出光コレクションの茶の湯の名品を、中国の青磁から侘茶を象徴する楽茶碗や古唐津、そして京焼の名工・野々村仁清や尾形乾山まで、幅広く取り合わせて展示します。さらに、俵屋宗達、酒井抱一、鈴木其一などの琳派の名品をはじめとした、日本人の歌心を呼び起こす華やかな絵画作品も展示いたします。
日本美術の粋に触れる特別な機会をお楽しみいただけますと幸いです。